行方不明者と相続・遺産分割

共同相続人の中に、行方不明者がいた場合はどのように遺産分割を行えばよいのでしょうか。そのような場合には、以下のような方法で相続を行うことができます。

 

不在者財産管理人の選任を申し立てる

共同相続人などの利害関係人は、行方不明者のために、家庭裁判所に対し、
不在者財産管理人」の選任を申し立てます。

不在者財産管理人が選任されると、その不在者財産管理人が、裁判所の許可を得て、
行方不明者に代わって遺産分割協議に参加することになります。

 

失踪宣告・認定死亡の制度を利用する

行方不明者が生死不明の場合には、失踪宣告や認定死亡という制度によって行方不明者を死亡したことにすることで、相続を開始させることができます。

 

失踪宣告

民法に定められた要件を満たした場合に、家庭裁判所によって失踪宣告を受けた者について死亡したものとみなす制度です。失踪宣告がなされた場合、実は生きていたことが判明したとしても、当然に死亡が覆る訳ではなく、失踪宣告を取り消す旨の裁判をしなければいけないという点に特徴があります。

 

認定死亡

災害などに巻き込まれたなどにより、死亡した可能性が極めて高い場合に、行政機関が死亡を認定することで、死亡したことを推定する制度です。認定死亡はあくまで「推定」にすぎないので、生きていることが判明した場合は、当然に効力が失われます。

 

遺言を利用する

不在者財産管理人や失踪宣告などは大変煩雑な手続きを経なくてはならないため、相続人が財産を取得するまでに長い時間がかかってしまうこともあります。
そのような事態を回避するため、遺言で行方不明者を以外の相続人に遺産を分配しておく方法が考えられます。
行方不明者に財産を残したいときは、所在が判明したときに備え、取得分を具体的に明示しておくのも良いでしょう。 

 

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