遺言の撤回について
遺言は原則自由に撤回できる
遺言が成立した後も、遺言の効力が発生するまでは一度した遺言を撤回することができます。
遺言者が遺言を撤回しない旨の意思を表示していたとしてもその意思は無効であり、遺言者は、いつでも自由に遺言の一部又は全部を撤回することができます。 撤回されると、前の遺言の効力は、撤回がなされた時点に撤回がなされた範囲で消滅します。
※後の遺言が無効だったり取り消されたりした場合にも、消滅した遺言の効力は復活しません。
撤回行為が無効になった場合に従前の遺言を復活させるよりも、あらたに遺言をするほうがその時点の真意を正確に確かめられるからです。
遺言の撤回方法
自由に撤回できるといっても、撤回したいと考えているだけでは遺言の撤回とは認められません。
遺言を撤回する方法に従って遺言を撤回しましょう。
破棄
遺言書を物理的に破棄することで、遺言を撤回できます。
公正証書遺言の場合には、原本が公証役場に保管されていますので、手元の正本や謄本を破棄しても撤回したとは認められないことに注意しましょう。
新遺言書の作成
新しい遺言書を作成して、その遺言書に前の遺言を撤回する旨を明記しておくという方法が確実です。
撤回意思は明確にされていなくても大丈夫
撤回意思が遺言によって明確にされていなかったとしても、前の遺言と内容的に抵触する遺言をした(両立できない場合や実現不能になる場合)場合遺言者又はその代理人が遺言と異なる法律行為をした場合には、遺言は撤回されたとみなされます。
たとえば、1の例としては、「Aに○○銀行××口座から100万円遺贈する。」との遺言書を作成した後に、自己破産をした場合などがこれにあたります。
2の例としては、遺言者が「甲不動産はAに遺贈する。」と遺言書を作成した後に、甲不動産をBに生前贈与した場合などがこれに当たります。 遺言者の最終意思を尊重するためには、最新の意思が尊重されるべきだからです。
コラム:遺言の「取消し」と「撤回」
日常用語では「取消し」と「撤回」は同じ意味で用いられることも多いですが、両者は法的には一応区別されます。「取消し」は、法律で定められた取消事由がある場合に、法律行為を取り消することによって、法的効果をはじめから無かったことにすることをいいます。撤回は、そのような場合に限られません。遺言の取消しは、詐欺または脅迫によって遺言を作成した場合に認められます。
遺言書の作成 関連項目
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