借金と相続放棄

被相続人に借金がある場合、借金を相続したいという相続人はそうそう居ないものです。借金が多額であると、相続放棄を考えていきますが、相続放棄の正しい認識がないと、逆に損をしてしまうこともあります。

近頃CMなどでもよく耳にするようになった「借金問題」や「過払い金」「債務整理」は相続においても関係してくるのをご存知でしょうか。 

借金の過払い金と相続放棄

ここでは過払い金や債務整理の仕組みについて少しご説明させていただきます。

借入をする場合には借入先である消費者金融やクレジット会社の約定に従った、高い返済利息の契約をしたとします。 被相続人はその約定に従い、金融会社に高い利息を払い続けたとします。 しかし、金融会社が約定していた利率は、利息制限法の定める所定の利率と比べると、明らかに高い利率だったのです。 

実は、平成18年改正の貸金業規制法施行よりも以前は貸金業者の大半は、出資法の上限利率だった年利29.2%ぎりぎりの利率で貸付をしていることがほとんどでしたが、制限法では上限利率は下記になっています。

金額 利率
元本額10万円未満 年20%
元本額10万円以上100万円未満 年18%
元本額100万円以上 年15%

上記の制限法以上の利率で借金を返済している場合には、法律上支払う必要のない金利を払い続けていることになります。要するに、上記制限法の金利以上の金利分は支払う必要がないのです。上記以上の金利を請求されている場合には違法の請求になります。

そして、この払いすぎている利息分を「過払い金」といいます。専門家が被相続人の借金に関する書類を確認し、過払い金があることが判明した場合、払いすぎていた利息分を請求することができます。ですから借金でも、場合によってはプラスの財産になる事があるという事です。万が一、被相続人が過払い金がある状態で亡くなってしまい、それを借金だと判断して相続人が相続放棄をした場合、プラスの財産を放棄してしまうこともあり得るのです。しかし、相続放棄は、相続が発生した日から3ヶ月以内という期限があるので、借金の見直しをするような時間が無い!などの問題も発生するのではないかと思いますが、相続放棄は熟慮期間の延長をすることが可能です。相続放棄の熟慮期間の延長を家庭裁判所に申し立てることによって、期間を延長することが可能です。

被相続人の生前の借入先との取引期間が5~10年以上といった長期である場合には、まず過払い金の調査を行ったほうがよいでしょう。

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